丈夫で育てやすい熱帯魚として
知られるグッピーですが、
飼育者さんがお世話を油断していたり
グッピー自身が弱っていたりすると
思わぬ病気にかかってしまうことがあります。
「自慢のヒレが傷ついている・・・」
「なんだかお腹が膨らんでるみたい・・・」
そんな症状が見られた場合は要注意!
グッピーの病気の中には、
一度かかると治療が困難なものや
他の個体に影響を及ぼすものもあるので、
早急な対処が必要です。
そこで今回の記事では、
グッピーがかかりやすい7つの病気の
症状と対処方法を解説したいと思います。
病気にさせない飼育のコツなどについても
ご紹介していますので、
ぜひ参考にしてみてくださいね!
グッピーの病気を対策!7つの病気を一覧で
それでは早速、
グッピーがかかりやすい病気には
どんなものがあるのか見ていきましょう。
皆さんの飼っているグッピーには
気になる症状が出ていないか、
一緒にチェックしてみてくださいね。
1.尾びれがボロボロになる病気(尾ぐされ病)
グッピーの特徴といえば
体の半分ほどはありそうな
大きなヒラヒラの尾びれですが、
この尾びれが白くふやけて
やがてボロボロになってしまう病気を
「尾ぐされ病」といいます。
尾ぐされ病は尾びれだけに
あらわれるものではなく、
他のひれやエラ、口の周りなどにも
同じような症状が出る場合もあります。
口に出ると餌がうまく食べられなくなり
エラに出ると呼吸困難を起こすため、
死に至るケースも多いです。
この病気は”カラムナリス菌”という
細菌に感染することで発症します。
感染した部位が溶けたようになるのは、
この菌がタンパク質を分解する
酵素を出しているためです。
発症個体はすみやかに隔離し、
「エルバージュエース」や
「グリーンFゴールド」などの
魚病薬で薬浴させて治療します。
カラムナリス菌は食塩に弱いので、
発症初期の段階であれば
0.3~0.5%濃度の塩浴も効果的です。
なお、カラムナリス菌は
水質の悪化によって繁殖しやすいため、
尾ぐされ病にかかったということは
飼育水が汚れていることを意味します。
発症個体の治療と同時に、
水換えの頻度や水槽内の魚の数など
水質が悪化する原因がないかどうかを
今一度見直してみましょう。
2.お腹が膨らむ病気(腹水病)
グッピーのお腹がパンパンに膨れている時は
「腹水病」が疑われます。
腹水病は”運動性エロモナス菌”の感染によって
消化器系を中心とした内臓に炎症が起こり、
腹部に水が溜まってしまう病気です。
エロモナス菌は水中の常在菌で
病原性はそれほど高くありませんが、
水質の悪化などが原因で
グッピーの免疫力が低下していると
感染・発症する恐れがあります。
水が溜まってお腹が膨れる以外には、
次のような症状も見られます。
- 動きがやや鈍くなる
- 食欲減退
- 白い糞が出る
- 鱗が逆立つ(松かさ病の併発)
治療は発症初期であれば
0.3~0.5%の塩浴が有効ですが、
症状が改善されない場合は
「グリーンFゴールド」や
「観パラD」などの魚病薬で薬浴を行います。
なお、腹水病はメスが発症した場合、
妊娠と間違いやすいので気を付けましょう。
腹水病か妊娠かの区別がつかない時は、
一旦隔離して糞の状態を確認してください。
白い糞が出ているなら、
腹水病である可能性が高いでしょう。
3.白点病
グッピーの体表に白い斑点が見られるのは、
「白点病」の症状である可能性が高いです。
”イクチオフチリウス”という病原虫が
体の弱ったグッピーに寄生することで
引き起こされる病気で、
非常に強い痒みを伴うのか
水槽のあちこちに体を擦り付けるような
仕草をするようになります。
この痒がる動作は白点が出現する前にも
見られることがあるので、
普段から泳ぎ方をよく観察しておくと
病気の早期発見につながるでしょう。
治療には「ニューグリーンF」や
「メチレンブルー」などの魚病薬が
用いられますが、
料理に使用する「鷹の爪」も
効果があると言われています。
必要な量や手順については
こちらの動画の後半で紹介されているので
チェックしてみてください。
鷹の爪には強力な殺菌作用があり、
水槽内の病原菌を死滅させる効果が
期待できるのだそうです。
ただし、あくまでも民間療法の一つなので
実施する際は自己責任でお願いします。
また、白点病の病原虫は高水温に弱いので、
水温を高めに設定するのも効果的です。
4.赤斑病
体表やヒレに赤い斑点が見られる時は
「赤斑病」の可能性が疑われます。
先にご紹介した腹水病と同じ
”運動性エロモナス菌”の感染によって
発症する病気で、
発症初期には体表やヒレが
粘膜の分泌で白っぽくなり、
しばらくしてから充血斑があらわれます。
重症化すると肛門が充血して赤くなったり
表皮が剥がれて潰瘍になったりします。
腹水病や松かさ病を併発している
ケースも多いようです。
治療はやはり魚病薬による薬浴が基本で、
塩浴との併用も効果的だとされています。
5.松かさ病
「松かさ病」も腹水病や赤斑病と同じ
”運動性エロモナス菌”の感染によって
発症する病気で、
発症すると体が膨れて鱗が逆立ち
”松かさ”のように見えることから
このように呼ばれています。
立鱗のほか、
以下のような症状を伴う場合も多いです。
- ポップアイ(眼球突出)
- 食欲減退
- 体表の内出血
- 腹水が溜まる(腹水病の併発)
松かさ病はエロモナス菌感染症の中で
もっとも厄介な病気だと言われており、
治療はきわめて困難です。
したがって「発症させないこと」が
何よりの対策になります。
細菌に感染するということは
グッピーの免疫力が低下していることを
意味していますので、
水質の悪化や水温の急変、過密飼育など
現在の飼育環境の中に
グッピーのストレスになる要素はないか
今一度見直してみてください。
6.ハリ病
「ハリ病」はグッピーの稚魚に
多く見られる病気で、
尾びれが針のように細くなることから
このように呼ばれています。
現時点では発症原因はわかっていませんが、
水質の悪化や栄養不足によって発症する
可能性が高いと考えられているようです。
治療法としては、
0.2~0.3%の低濃度での塩浴や
「メチレンブルー」による薬浴が
知られています。
ただしこの病気は治療がきわめて難しく
残念ながら助からないケースも多いです。
7.グッピーエイズ
「グッピーエイズ」はグッピー特有の病気で、
いまだに原因が特定されておらず
治療もきわめて困難なことから
”不治の病”とも言われています。
発症した個体には、
次のような症状があらわれます。
- 尾びれをたたんでフラフラ泳ぐ
- 流れに逆らうようにして泳ぐ
- 水面近くを立ち泳ぎする
- 水底でじっとして動かなくなる
- 体表が白っぽく変色する など
治療は「グリーンFゴールド」や
「バラザンD」などでの薬浴が一般的ですが、
残念ながらあまり効果はないようです。
ただ、早い段階で発症個体を隔離できれば、
他のグッピーに病気がうつることだけは
防げるかもしれません。
なお、この病気を発症する個体の多くは
東南アジアなどから輸入された外国産で
国産グッピーが発症することは
ほとんどないそうです。
グッピーの病気には塩が効果的って本当?
熱帯魚の病気の治療や
体力を回復させる手段の一つに、
塩を使った「塩浴」があります。
病気の解説の中でも何度か出てきましたね。
塩浴とは文字どおり
「塩を溶かした水の中でしばらく泳がせる」
というものです。
グッピーの飼育者さんたちの間でも
昔から行われている方法ですので、
皆さんも万が一の時のために
覚えておくと良いでしょう。
ここからは、塩浴で得られる効果や
手順について解説していきます。
①塩浴の効果とは?
塩が熱帯魚にもたらす効果は、
大きく分けて二つあります。
- 浸透圧の調整を助けて、
病気で消耗した体力の回復を促す - 殺菌効果で病原菌を死滅させる
浸透圧とは、簡単に言うと
塩分が薄い方→濃い方に水分が移動して
全体的に同じ濃度になろうとする
性質のことです。
グッピーは淡水魚ですが、
体液には微量の塩分が含まれています。
一方、飼育水(真水)には
塩分はほぼ含まれていませんから、
グッピーの体の内側と外側では
常に塩分濃度に差がある状態です。
そのため、グッピーの体では
この差を調整する活動(浸透圧調整)が
常に行われているのですが、
これが意外に体力を消耗するもので、
特に病気で弱っているグッピーには
かなりの負担になってしまいます。
そこで、飼育水に塩を溶かして
体の外側の塩分濃度を内側に合わせることで
浸透圧の調整にかかる体の負担を減らし、
体力の回復を促してやるのです。
そして、二つめの「殺菌効果」にも
浸透圧が大きく関係しています。
細菌や寄生虫の体内塩分濃度は、
熱帯魚よりも低いと言われています。
そのため、飼育水に塩を溶かすことで
細菌や寄生虫の体内から水分を奪い、
死滅させることができるのです。
②塩浴のやり方は?
塩浴は基本的に、
対象の魚を別容器に隔離して行います。
飼育水槽に直接塩を入れても良いのですが、
ろ過バクテリアのはたらきが鈍くなったり
水草が枯れてしまう恐れがあるため、
あまりおすすめはできません。
塩分濃度は0.5%で始めると良いでしょう。
水1Lに対して塩5ℊで
0.5%の塩水になりますので、
使用する容器の水量をもとに
塩の量を計算してみてください。
細菌や寄生虫の活動を抑えるために、
水温は少し高め(28℃程度)を
保つようにします。
塩浴を行う期間は1~2週間、
グッピーの様子を見ながら決めましょう。
期間中は絶食が望ましいのですが、
長引くようであればごく少量の餌を与えます。
塩浴を終える際は、
いきなり飼育水槽に戻してしまうと
水質の急激な変化によって
せっかく回復した体に負担がかかるため、
徐々に水の塩分濃度を下げて
体を真水に慣らしてあげてくださいね。
③塩浴に使う塩の種類は何がいい?
塩浴に使う塩の種類は
基本的にどんなものでも構いません。
ご家庭にある普通の食塩でも大丈夫です。
ただし「味塩」などのような
化学調味料が含まれているものや
香辛料入りのものは避けてください。
アクアショップなどでは
水槽用の塩も販売されていますので、
心配な方はそちらを使うと良いでしょう。
グッピーの病気を予防するには?
よく「予防に勝る治療はなし」と言いますが、
これは私たち人間もグッピーも同じです。
基本的に丈夫だと言われるグッピーでも
病気になるとあっという間に弱ってしまい、
最悪死に至る場合もあります。
グッピーを苦しめないためには、
病気になってから何とかするよりも
日頃から病気の発生を防ぐことが
何よりも大切なのです。
飼育のポイント3つ
- 水質・水温を適切に管理する
- 水流の強さに注意する
- 過密飼育をしない
グッピーも私たち人間と同じで、
体が弱って免疫力が低下していると
病気にかかりやすくなります。
水質の悪化や極端な高水温・低水温は
グッピーを弱らせる原因になりますので、
日頃からしっかり管理しましょう。
また、体のサイズに比べて
尾びれが大きなグッピーは、
泳ぐのがあまり得意ではありません。
そのため水槽内に強い水流があると
尾びれが傷付いてそこから細菌が感染したり、
水流に巻き込まれて弱ってしまいます。
とはいえ、水流の発生源である
フィルターやエアレーションは
水槽環境を整えるうえで必要不可欠ですから、
うまく調整して使っていきましょう。
水流の強弱を設定できる機種を選ぶほか、
グッピーが水流から逃れられるよう
水槽内に水草を入れるのも有効です。
さらに、グッピーは
非常に繁殖力が旺盛な魚であり、
卵胎生で稚魚の生存率も高いことから
放っておくとあっという間に数が増えて
水槽が過密状態になる可能性があります。
水槽の大きさに対して魚の数が多いと
飼育水が汚れて病気が発生しやすくなるので、
数を増やす場合は水槽を分けましょう。
グッピー1匹につき3Lの体積が
確保できる環境が理想です。
まとめ
今回の記事では、
グッピーがかかりやすい病気の症状や
病気を発生させない飼育のコツなどを
ご紹介してまいりました。
グッピーは基本的に丈夫な熱帯魚で、
適切な環境で飼育していれば
病気になるようなことはあまりありません。
すなわち、病気になる原因は
水温の急変や水質の悪化、
あるいは過密飼育によるストレスなど、
グッピーの心身に負担をかけ
免疫力を低下させるような問題が
飼育環境の中に潜んでいることが多いのです。
泳ぎ方や見た目の症状から
病気の可能性が疑われる個体を発見したら、
すみやかに治療を施すとともに
飼育環境についても見直してみましょう!
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