一見繊細そうに見えるベタですが、
水質が悪化した環境でも生きられる
タフな魚だと言われています。
しかし、ベタにとって水は
人間にとっての空気のようなもの。
私たちが空気の汚れた環境で
体調を崩すことがあるのと同じように、
いくら丈夫なベタでも
汚れたままの水で飼い続けると
やがて病気になってしまいます。
そこで必要になるのが
水槽内に溜まった汚れを取り出し
新しい水を加える”水換え”の作業ですが、
ベタ飼育の初心者さんは
「どれくらいの頻度でやるべき?」
「水は水道水で大丈夫?」などなど
悩むことも多いでしょう。
そこで今回の記事では、
ベタ水槽の水換えの正しいやり方や
適切な頻度などについて
詳しく解説したいと思います!
ベタの水換えの頻度はどれくらい?
ベタの水槽の水は、
餌の食べ残しや排泄物などの汚れが
日々蓄積していきます。
この汚れを取り除き、
きれいな水を加える作業が”水換え”です。
ただ、ベタはもともと
浅い沼地や水田のような
環境変化の少ない場所に生息する魚。
水換えによって水質や水温が変化すると
体調を崩してしまうことがあるので、
あまり頻繁にやり過ぎるのは良くありません。
水槽にフィルターを設置しているのであれば、
2週間に1度、全体の1/4程度の水換えで
十分です。
「毎月○日と○日に水換え」など
水換えをする日にちを決めておくと
やりやすいですね。
しかし、ベタは単独飼育が基本なので、
小さなガラスボトルなどで
フィルターなしで飼育されている方も
多いのではないでしょうか。
その場合はフィルターによる
ろ過効果が期待できませんので、
水換えの頻度を上記の目安よりも多くして
対応しなくてはなりません。
5L以下の小さな容器なら
5~7日に1度は行いたいところです。
ただし、水換えの頻度が多くなるぶん
ベタの体にかかる負担も大きくなるので、
できれば10L以上の水量が確保できる
ゆとりのある水槽で飼育することを
おすすめします。
また、ベタの稚魚を育てる際にも
定期的な水換えは重要です。
ベタの水換え!カルキ抜きのやり方は?
私たちが普段使っている水道水には、
消毒のための”カルキ”が含まれています。
これは皆さんもご存知ですよね。
カルキとは石灰の一種で
水に投入すると塩素を発生する性質があり、
水道水には国で定められた基準である
”1Lにつき最低0.1g”が含まれます。
0.1gというとごく微量なように思いますが、
塩素への抵抗力をもたないベタは
このわずかな量が体に取り込まれただけでも
体調を崩してしまう恐れがあります。
そのため、水道水を飼育水として使用するには
事前に”カルキ抜き”の作業を行って
ベタの体にとって無害な状態に
しなくてはなりません。
カルキ抜きは以下のような方法で
行うのが一般的です。
- 水をバケツなどに汲み置きし、
自然にカルキが抜けるまで待つ - 水に市販のカルキ抜き剤を添加する
カルキは何か特別なことをしなくても、
水をバケツなどの容器に汲み置きして
しばらく放っておけば自然と抜けていきます。
ただ、一つ注意しなくてはならないのが、
カルキが抜けるまでにかかる時間には
時期や地域、天候などによって
大きな違いがあるということ。
確実にカルキが抜けているかどうかは
見た目で判断することができないので、
人によっては不安が残るでしょう。
より安全で確実なのは、
市販の”カルキ抜き剤(水質調整剤)”を
使って塩素を中和する方法です。
カルキ抜き剤は多数のメーカーから
販売されていますが、
中でもベタにおすすめなのはこちら。
水道水に規定量を添加するだけで
カルキを素早く安全に抜くことが
できるだけでなく、
液体中に含まれる
各種ミネラル・ビタミンによる
健康促進や色揚げの効果も期待できます。
他にも様々な種類がありますので、
自分が使いやすそうなものを
探してみると良いでしょう。
ベタの水換え回数は時期で変えるべき?夏は多めがいいの?
ベタは小さなガラス容器などに入れて
インテリア感覚で飼える魚としても
人気ですが、
水量の少ない容器ほど
外気温の影響を受けて温度が変わりやすく、
特に水温が上がりやすい夏場は
水中のろ過バクテリアの働きが鈍り
水が傷みやすくなるため、
普段よりも水換えのペースを上げて
対応していかなくてはなりません。
ベタ自身は高水温に強い魚ですが、
水質の悪化を抑えるという意味では
高水温対策を行ったほうが良いでしょう。
いちばん手軽にできるのは、
直射日光による水温上昇を避けること。
窓の近くに水槽を置いている場合は、
置き場所を変えたりカーテンなどを使って
直射日光が当たらないようにします。
ベタの病気!水換えが予防になる3つの病気
ベタは沼地や水田、水溜まりなどにも
生息する魚であることから、
水質の悪化に強いと言われています。
しかし、そんな丈夫なベタでも
極端に水が汚れてしまうと、
- 白点病
- 尾ぐされ病
- エロモナス感染症
などの水質の悪化を主な原因とする
怖い病気にかかることも。
では、これらの病気にかかると
どのような症状が出るのか、
詳しく見ていきましょう。
1.白点病
「白点病」はベタに限らず
多くの熱帯魚がかかりやすい病気の一つで、
原生動物の繊毛虫である
”ウオノカイセンチュウ”が寄生することで
引き起こされます。
発症すると体表に0.5~1mmほどの
小さな白い点がポツポツと現れるほか、
水槽内のあちこちに体を擦り付けて
痒がるような仕草も見られます。
この動作によって体表が傷つき、
そこから症状が悪化することもあるので
注意が必要です。
病原虫のウオノカイセンチュウは
25℃以下の低水温を好む性質があるため、
白点病は水温が下がりやすい時期や
ヒーターを設置していない環境で
起こりやすいと言われていますが、
ベタ自身の健康状態が良好な時は
発症することはほぼありません。
反対に水換え不足などで水質が悪化して
ベタの体の免疫力が低下していると、
病原虫が寄生しやすくなります。
2.尾ぐされ病
ベタの特徴といえば
大きなヒラヒラの尾びれですが、
この立派な尾びれが白くふやけて
やがてボロボロになってしまう病気を
「尾ぐされ病」といいます。
この病気は尾びれだけに出るものではなく、
他のひれやエラ、口の周りなどにも
同じような症状が出る場合もあります。
口に出ると餌がうまく食べられなくなり
エラに出ると呼吸困難を起こすため、
死に至るケースも多いです。
この病気は”カラムナリス菌”という
細菌に感染することで発症します。
感染した部位が溶けたようになるのは、
カラムナリス菌がタンパク質を分解する
酵素を出しているためです。
このカラムナリス菌は
水質の悪化によって繁殖しやすいため、
尾ぐされ病にかかったということは
飼育水が汚れていることを意味します。
もし発症した場合は治療と同時に
水換えの頻度などの見直しが必要です。
3.エロモナス感染症
エロモナス感染症とは、
”運動性エロモナス菌”の感染で
引き起こされる病気です。
感染した個体には
次のような症状があらわれます。
- 全身の鱗が逆立つ
- 腹部が膨張する
- 体表が赤く充血する
- 食欲が減退する
- ポップアイ(眼球突出) など
中でも立鱗はエロモナス感染症の中で
もっとも厄介な症状だと言われており、
治療はきわめて困難です。
しかし、このエロモナス菌自体は
どこの水槽内にもいる常在菌で、
本来はそれほど病原性の高い
菌ではありません。
つまり、エロモナス菌が原因で
ベタが病気になるということは、
ベタ自身が弱っているということ。
その理由の一つとなるのが、
水換え不足などによる水質の悪化です。
ベタが塩浴中の場合の水換えは必要?
熱帯魚の病気の治療や
体力を回復させる手段の一つに、
塩を使った「塩浴」があります。
塩浴とは文字どおり
”塩を溶かした水の中でしばらく泳がせる”
というもので、
先ほど解説したベタの「白点病」や
「尾ぐされ病」の治療にも用いられます。
塩水の作り方などの詳しい手順は、
こちらの動画が参考になりますよ。
塩浴を行う期間は1~2週間、
ベタの様子を見ながら決めていきますが、
塩浴をすると水中のバクテリアの働きが鈍り
ろ過効果が衰えてしまうため、
期間中はできるだけこまめに
水換えを行うのが望ましいとされています。
目安としては2日に1回、
換水量は全体の3分の1程度。
新たに足す水も同じ濃度で
塩水を作ってあげましょう。
また、水の汚れを最小限に抑えるため、
塩浴中は絶食(餌なし)が基本です。
可哀想だと思うかもしれませんが、
ベタは成魚であれば1週間くらいは
餌を食べなくても生きていけますので
心配することはありません。
期間が長引くようであれば
様子を見ながらごく少量を与え、
食べ残しが出た場合はスポイトなどで
きれいに取り除いてください。
ベタがメチレンブルーなどで薬浴中の水換えはどうする?
また、病気の種類や進行具合によっては
「メチレンブルー」などの魚病薬による
薬浴が有効な場合もあります。
ただ、魚病薬は病原菌だけでなく
水中にいるろ過バクテリアまでも
死滅させてしまいます。
そのため、薬浴中も
先ほど解説した塩浴の時と同じように
こまめな水換えが必要です。
回数の目安は使用する魚病薬の
種類によって異なりますので、
そちらを参考にしてみてください。
また、新しい水を用意する際は
病気のベタへの負担を最小限に抑えるため
水温合わせも忘れずに行いましょう。
水温計を用意しておくと良いですね。
まとめ
今回の記事では、
ベタ水槽の水換えのやり方や頻度などを
詳しく解説してまいりました。
ベタは適切な飼育環境下では
基本的に丈夫ですが、
ひとたび病気になってしまうと
重症化しやすい傾向があります。
私たち人間もベタも同じで、
病気は「予防に勝る治療なし」。
その予防の一つになるのが水換えです。
大切なベタを怖い病気から守るため、
水換えについて正しく理解して
日頃から水質管理をしっかりと
行うように心掛けましょう。
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