ポメラニアンは、チワワや
トイ・プードルが人気になる前から
日本で根強い人気を博している犬種です。
ころっとしたぬいぐるみみたいな
見た目は、惹かれるのも納得。
そんな可愛い犬種ですが、
純血種の宿命として
他の犬種と比較すると
なりやすい病気があります。
純血種は同じ見た目の犬を作るために
似た見た目・性質の犬をかけあわすので、
改良の時点で血が濃くなってしまいます。
当然、特定の病気になりやすい性質も
遺伝していき、ポメラニアンも
例外ではありません。
そこで、
- ポメラニアンに発症の多い病気
- 病気のときに出やすい症状
について紹介していきます。
飼い主さんや、これから飼おうと
思っている人は知っておきましょう。
飼い主さんが症状を知っておくことで
早期発見につながりますし、
余命が長くなるかもしれません!
ポメラニアンの発症しやすい病気とその症状や原因をまとめてみた!
ポメラニアンが発症しやすい病気と、
その症状を紹介していきます。
個人的な印象だと関節系は
小型犬種だからもちろんですが、
内分泌疾患に小型犬種の中では
なりやすい気がします。
1.クッシング症候群:ポメラニアンの病気の症状とは?
クッシング症候群は厳密には
病気の名前ではなく、
正式名を副腎皮質機能亢進症といいます。
この病気は腎臓の頭側についている
副腎という臓器の、
皮質と呼ばれる場所から
ホルモンが沢山出てしまう病気です。
ここから分泌されるホルモンは
ステロイドホルモンの一種である
糖質コルチコイドで、
このホルモン自体は身体になくては
ならない大切なものです。
でも、沢山出すぎてしまうと
ホルモンによって起きる現象が
必要じゃないときにも起きてしまう
ことになり、身体に色々な悪い症状を
引き起こします。
この「色々な症状」が起きるので、
一連の症状をr「~症」という
言い方ではなく「~症候群」と
呼ばれているのです。
症状としては多飲多尿が
飼い主さんが気がつきやすいポイント。
他にも皮膚が薄くなったり
太鼓っ腹(ポットベリー)になったり
するのですが、徐々になので
気がつかない人もいるんです。
ポメラニアンは元々皮膚が薄いので
分かりにくいかもしれませんね。
重症化すると糖尿病や
易感染性(免疫力の低下)が起きたり
するため他の病気になったときの
重症化リスクが跳ね上がります。
クッシング症候群の対処法は?
内分泌疾患はどれだけ日々の生活に
気を付けていてもなってしまう
ものなので、初期の症状に
どれだけ早く気づくかがポイント。
多飲多尿、多食、太鼓腹、
皮膚の菲薄化などなど・・・。
治療は抗ホルモン薬を基本的には
一生涯飲み続けることになるので、
これを飼い主さんが継続できるかにも
より予後が違います。
もちろん症状の重い軽いが
その子によってもあるので
ご家族の主義によっては
投薬していない子もいますが、
重症化リスクは考慮しましょう。
2.甲状腺機能低下症:ポメラニアンの病気の症状とは?
動画は柴犬ですが、
甲状腺機能低下症の神経症状が
出てしまったわんちゃんです。
甲状腺は、気管の左右についている
内分泌器官です。
ここから出るホルモンが
極端に少なくなってしまうのが、
この病気の症状の原因です。
ホルモンは多すぎても少なすぎても
問題になる物質なので、
甲状腺ホルモンが少ないと
身体に支障が出ます。
主な症状は、皮膚の脆弱化、代謝低下、
皮膚のむくみ、徐脈(ゆっくり過ぎる
脈拍)など。
飼い主さんが気づきやすいのは、
皮膚の弱さや太りやすさなどです。
ポメラニアンで出やすいのは、
皮膚の症状が比較的目立つかなという
印象です。
また、なんとなく元気がないというのも
代謝低下によって起きやすいです。
徐脈や皮膚のむくみまで出てくる
となると、中度には進行している
病態なので投薬開始をおすすめします。
甲状腺機能低下症の対処法は?
この病気の対処法は
早期発見はもちろんのこと、
明らかな症状が出ているのに
放っておかないこと。
正直、症状が軽いなら
ちょっと放っておいても
死ぬことは稀な病気です。
でも、症状が明らかに重篤なのに
放置しておくと死の危険が高まります。
この病気は代謝を著しく下げるので、
症状が重篤になると
皮膚のむくみや徐脈が顕著になります。
その結果呼吸困難になったり
心肺機能の低下などが現れ、
死亡することがあるんです。
ホルモンの病気なので検査しないと
確定診断ができないため、様子が変なら
病院で勧められたときにホルモン値を
測定しておくことをおすすめします。
この病気だと確定したら、
基本的には一生投薬が必要になります。
稀に甲状腺癌になることもあるため、
薬を取りに行くだけではなく
定期的に触診をしてもらったり
安定しているか確認のホルモン検査を
したりすることが必要です。
3.ポメハゲ:ポメラニアンの病気の症状とは?
この病気は稀な疾患なんですが、
発生はポメラニアンに圧倒的に多いです。
性差もあって、雄のほうが
多いと言われています。
ポメラニアンの脱毛症なので
俗にポメハゲと言われることも
ありますが、チワワハゲのように
毛の生え方の問題ではありません。
実は、れっきとした内分泌の病気で、
ホルモンにより毛の周期が
停止してしまう病気です。
ただし、どのホルモンが原因なのか、
何故毛周期にだけ働きかけるのかなど
はっきりしたことはまだほとんどが
謎に包まれています。
謎が多いので、病名も
「アロペシアX(エックス)」という、
変わった病名です。
症状は体調にはなんら異常を
きたさないんですが、
体幹の毛が抜けてしまったり
そぞろになってしまったりすること。
命に別状はないんですが、見た目上は
なんだかかわいそうな見た目に
なってしまいます。
ポメハゲの対処法は?
おうちのポメラニアンが元気に楽しく
生活をしているだけで良いなら、
極端なことをいうと
治療は必要ありません。
毛だけの問題で内臓系の機能には
問題がないので、
命が無事であれば良いなら
投薬などはいらないです。
イヌは自分の毛が抜けていようと、
特に気にしませんから。
見た目上の問題で改善したい場合には、
毛に働きかけるサプリメントや
抗ホルモン剤、ホルモン剤などを
投薬したりします。
また、性ホルモンが関わっている
可能性もあるので
不妊手術をしたりもします。
これらの治療をしても効果がある子と
無い子がいるので、
全然毛が生えてこなくても
気に病まないでくださいね。
4.気管虚脱:ポメラニアンの病気の症状とは?
この病気は、普通は
正円をしている気管の形が
楕円につぶれてしまう病気です。
比較的小型犬種に多く、
ポメラニアンもその好発犬種に入ります。
気管は空気を気管支や肺に
送り届けるための管なので、
これがつぶれてしまうと
空気がとりこめません。
症状としては、「ガーガー」と、
まるでガチョウが鳴いたような音で
呼吸をすることがあります。
つぶれた管に強く息をふくと
独特の音がしますよね、
あの音に似ています。
症状が軽いとその呼吸音だけのことも
ありますが、重篤になると
酸素が摂りこめず呼吸困難に
なることがあります。
心臓は大丈夫なのに
運動するとばてるようになったり
舌が青くなったりしたら、
ちょっと心配です。
症状が重い子はレントゲンで見ると
気管がほぼ真っ平らになっていることも
あるんです。
気管虚脱の対処法は?
気管虚脱の対処法は、
症状が既に出ているなら
激しい運動をさせないことと
喉を圧迫しないこと。
なりやすい犬種は、発症していなくても
喉をいたずらに圧迫しないように
するのも大事です。
重症化すると外科手術の適応になり、
気管がつぶれないように
気管を広げるための器具を
入れることもあります。
症状が軽いときには、
気管を広げたり気管の炎症を
抑える薬を使うことも多いです。
好発犬種はトイ・プードル、チワワ、
ポメラニアン、パピヨンなど
人気犬種たち。
他の犬種でも起き得るので、
特徴的な呼吸音を
放っておかないようにしましょう。
5.流涙症(涙やけ):ポメラニアンの病気の症状とは?
この病気は、体質とも言えるものです。
涙が正常以上に出てしまうことで、
涙やけをしたりするのが主な症状
なのですが、その原因は色々あります。
ポメラニアンなどの小型犬に多いのは
鼻涙管の閉塞。
目から鼻につながっている管が、
詰まってしまう状態です。
最近多くなってきたと言われているのが、
目じりや目頭が丸くなったことに
起因する、毛などの異物による
涙の過剰分泌です。
逆さマツゲによっても
この病気が起きることがあるので、
涙やけをしてしまうほど涙が多い場合は
診察を受けてみましょう。
流涙症の対処法は?
体質なので、予防法はありません。
しいて言えば、
犬を小型にしすぎないようにしたり
目の形が円い犬を増やそうとしないこと。
このへんは可愛さを追い求めすぎない
消費者の意識と、ブリーダーの良心に
よるのではないでしょうか。
対処は、逆さマツゲなら抜いたり
毛根を焼いたりしたり、
目に毛が入りやすいなら目の周りを
すっきりしたカットにするなどです。
もし目に傷がついてしまった場合には、
目薬などで治療します。
鼻涙管の閉塞は何度洗っても
詰まってしまうことも多いし、
元々極端に狭い子もいるため
定期的に洗うよりは涙やけ部分の
スキンケアを重視しましょう。
ポメラニアンの病気はこんな3つの症状にも要注意!
ポメラニアンの病気について、
症状として注意したいものがあります。
ポメラニアンがなりやすい病気に
関連して起きることの多い症状なので、
この症状の治りが悪かったり
悪化の一途をたどる場合には
疑ってみても良いかもです。
1.ポメラニアンの病気:脱毛の症状
ポメラニアンは、毛に関するトラブルが
多めです。
特に脱毛系のトラブルはよく目にします。
ただの皮膚炎やカビくらいの病気なら
治療すれば治りますが、
内分泌が関わっていたりするとやっかい。
体幹部の毛がぼそぼそになってきた、
つるっと抜けたけど
かゆみも赤みもないなどの症状が
見られたら、病院へ行って
診察してもらいましょう。
ポメラニアンのけが薄いときの
原因について紹介しているので、
チェックしてみてください↓
⇒ポメラニアンの毛の量はどれくらい?薄い場合の6つの原因と予防法
ダブルコートのフワフワの毛が特徴の
犬なので、雑種じゃないのに
極端に毛が薄いのはたまたまではなく
病気かもしれません。
2.ポメラニアンの病気:下痢の症状
ポメラニアンは、小型犬種に
ありがちですが下痢をすることも
多いです。
下痢は様々な病気の症状として
あり得るので、すぐに治らなかったり
薬を飲んでも続いたりするなら
精密検査やフードの変更を
してみましょう。
ポメラニアンは比較的膵炎に
なりやすい犬種とも言えるので、
嘔吐まで起きていたら
早急に病院へ行ってあげてください。
3.ポメラニアンの病気:喉の症状
ポメラニアンの病気で、
喉の病気もあります。
気管支炎も起こしやすいんですが、
やはり多いのは気管虚脱。
ポメラニアンが咳をして来院したら、
獣医師の頭の中で鑑別診断の
かなり上のほうにランクインします。
運動した時に苦しそうにする、
呼吸の音が変、心臓が悪くないのに
舌の色が悪くなることがあるなどの
怪しい症状が見られたら
レントゲン検査をしてみましょう。
というか、呼吸器の症状が
みられた場合には念のため
胸部レントゲンを撮っておいたほうが
安心です。
聴診だけでは、正直なところ
診断にも限界があるんです。
まとめ
ポメラニアンの病気について、
特徴的な症状を見つけられそうですか?
- 毛に関する病気が他犬種にくらべ
比較的頻発 - 小型犬種によくある病気にもかかる
- 品種改良の結果、先天的な
形態異常も起き得る
昔から人気の犬種ではあるんですが、
実はけっこう病気も多い犬種。
ダブルコートが災いして
暑さにも弱かったりするので、
注意して体調管理をしてあげてください。
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