オスに比べて地味なせいか流通量が少なく
店頭になかなか並ばないベタのメス。
繁殖にむけてやっとの思いで
メスを手に入れた、という方も
少なくないでしょう。
しかし、メスを入手できたからといって
すぐにオスと一緒にしてはいけません。
なぜなら、お店から迎えた直後のメスは
まだ繁殖能力をもたない若い個体が多く、
オスと同じ水槽で泳がせると
産卵にまで至らないどころか
オスに”お断り”された挙句
ボロボロにされてしまうことがあるのです。
そのため、ベタの繁殖では
十分に成熟したメスを選ぶことが
非常に重要なポイントとなります。
そこで今回の記事では、
繁殖に適したメスベタを見分ける方法を
詳しくまとめてみました!
ベタの繁殖!メスの選び方が重要と言われているのはなぜ?
2015年に発売された「iPhone 6s」の
パッケージや壁紙に器用されたことで
一気に知名度が上がったベタ。
そのおかげで流通量がかなり増え、
最近ではホームセンターなどでも
簡単に入手できるようになりました。
しかし、店頭で販売されているベタの
大半は見た目の派手なオスのほうで、
メスのベタに出会える機会は
そう多くないのが現状です。
実際、繁殖を考えるようになるまで
メスを見たことがなかった、という方も
少なくないでしょう。
そのため、好みのメスを入手できると
嬉しさからつい先を急ぎたくなりますが、
ここで焦ってしまうのはいけません。
冒頭でも触れたとおり、
お店で販売されているベタのメスは
繁殖にはまだ若すぎる個体が多く、
未成熟な状態で繁殖させようとすると
肝心の産卵にまで至らないばかりか
オスが幼いメスを拒絶して激しく攻撃し、
最悪殺してしまう恐れがあるのです。
せっかく苦労して手に入れたメスベタが
怪我をしてボロボロになってしまっては
繁殖どころではありませんよね。
したがって、ベタを繁殖させる際には
”オスを受け入れる準備がバッチリ整った
十分に性成熟したメスを選ぶこと”が
非常に重要となります。
ただ、いつでも産卵できそうな
大人のメスを店頭で探すのは難しいため、
繁殖が可能な状態まで育てるのは
たいてい飼い主さんの役目です。
水質・水温の管理に気を配り、
餌も栄養価の高いものを十分に与えて
成長を促します。
オスとの相性が気になるところですが、
”お見合い”はまだやめておきましょう。
たとえガラス越しであっても
オスに近寄られることがストレスとなり、
体の成長に影響が出てしまうかもしれません。
焦らずじっくり構えることも、
繁殖を成功させるコツの一つです!
ベタの繁殖!産卵に適したメスを選ぶ3つのポイントとは?
出典:http://blog.livedoor.jp/you_kisho
ベタのメスは性成熟を迎えると、
体に次のような変化があらわれます。
- 抱卵している
- 産卵管が確認できる
- 体に婚姻線が出る
オスとのお見合い・ペアリングは
これらのサインが確認できる個体を選んで、
様子を見ながら開始します。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.抱卵している
出典:http://azuresky06.blog69.fc2.com
ベタのメスは性成熟すると、
お腹の中に卵が作られるようになります。
このお腹に卵を抱えている状態を
「抱卵」といいます。
お腹が大きく張ってくるにつれて
卵が白く透けて見えるようになりますが、
体色が薄いと少々わかりにくいため
初めての繁殖の際は濃い色の個体を
選ぶようにすると良いでしょう。
また、メスの健康状態が良くないと
抱卵しにくくなるので、
なかなか体の変化が見られない時は
飼育環境を見直してみてください。
2.産卵管が確認できる
また、メスは性成熟を迎えると、
ちょうど胸びれの下あたりに
1mmほどの白い突起が見えてきます。
これは「産卵管」と呼ばれる器官で、
卵はここを通って産まれてきます。
確認する時は下から覗き込むようにすると
わかりやすいですよ。
3.体に婚姻線が出る
出典:https://marionetten-puppe.at.webry.info/
抱卵と産卵管が確認できるようになったら、
様子を見ながら”お見合い”を開始します。
メスと対面したオスは自慢のヒレを広げたり
しきりに泡巣を作って見せたりして、
メスにアピールし始めるでしょう。
そんなオスの様子を見ていたメスも、
やがてその気になってくると
背中からお腹にかけて縞模様が出てきます。
この模様は「婚姻線」といって、
メスからオスへの”交配OK”のサインです。
こちらも体色が薄い個体だと
判別がなかなか難しいのですが、
オスに興味を示して自ら近寄っていくようなら
相手を受け入れる準備ができていると
判断して良いでしょう。
そのまま2~3日様子を見てから、
オスとメスを一緒にしてみてください。
ベタの繁殖!メスがオスから逃げるのは相性が悪いの?
お見合いの段階ではオスに興味を示していても、
たいていのメスはオスと一緒にすると
オスに驚いて逃げようとします。
「今まで順調だったのにどうして?」と
思ってしまう方もいるかもしれませんが、
逃げるのも無理はありません。
なぜなら、ベタのオスの求愛は
ものすごく過激だからです。
実際の様子はこちら。
オスにしつこく追いかけ回されたメスは、
まるで気配を消そうとするかのように
フィルターの隙間に隠れてしまいました。
このようにひたすら追い回されるだけでなく、
体やひれを激しく突つかれて
ボロボロにされることも珍しくありません。
しかし、ベタの場合は
こうした激しいペアリングを経て
メスの体がボロボロになった後に
交尾~産卵に至るケースが多いです。
ベタは本来”闘魚”と呼ばれるほど
気性が荒い魚ですから、
愛情表現をする時もつい熱くなりすぎて
しまうのかもしれませんね(笑)
飼い主さんとしては
メスが可哀想になると思いますが、
少し様子を見守っていてあげましょう。
ただし、以下のような場合は
すみやかにペアリングを中止してください。
- 3日以上経過しても産卵しない
- メスが弱ってぐったりしている
混泳から3日以上経っても
なかなか産卵が始まらない場合は、
残念ながら求愛ではなく
本当にメスのことが嫌いなのかもしれません。
メスが命を落とす恐れもあるので、
一旦オスメスそれぞれの水槽に戻して
まずは体の回復に専念しましょう。
その後はお見合いから再開してみると
うまくいくこともありますが、
何度やっても同じような結果になる場合は
別のパートナーを用意してあげたほうが
お互いのためかもしれません。
なお、気の強いオスベタには
同じくらい気の強いメスベタを
パートナーに選んであげると
うまくいくことが多いそうですよ。
ベタの繁殖!メスがオスを威嚇することもあるって本当?
出典:http://norinori-aqua.cocolog-nifty.com
お見合いを終えて
オスとメスを同じ水槽で泳がせると、
最初のうちはオスが激しく興奮して
メスをしつこく追いかけ回したり
体やひれを突いたりします。
そんなオスに対して、
たいていのメスは驚いて逃げ回ったり
どこかに隠れようとしたりしますが、
中には「近寄らないで!」と言わんばかりに
フレアリングをして威嚇するような
気の強い個体もいるようです。
実際の様子はこちら。
よっぽどこのオスのことが気に入らないのか、
小さなひれを目一杯広げて威嚇した後、
オスのひれに噛み付いていますね・・・!
このようにメスがオスを威嚇したり
攻撃したりするケースは、
以下のような時に起こりやすいようです。
- オスのコンディションが良くない
- オスよりメスのほうが体が大きい
生物のメスには「より優秀な子孫を残したい」
という本能があると言われていますから、
コンディションがイマイチなオスが相手では
メスもその気になれないのかもしれませんね。
また、メスのほうが体が大きいと、
ペアリングはうまくいったとしても
肝心の交尾でオスがメスを抱えられず
失敗に終わることもあるようです。
繁殖はオスとメスがいて
はじめて成立するもの。
メスだけでなくオスの状態にも
しっかり気を配っておきましょう。
ベタの繁殖!メスが1回に産む卵の数は?
出典:https://blogs.yahoo.co.jp/fmborussia
ベタのメスは1回の産卵で
平均して50〜100個の卵を産みます。
初産の時は10~40個ほどと
少なめで終わることも多いですが、
経験豊富なベテランのメスになると
なんと200個近く産むことも。
したがって、繁殖に挑戦する際は
”成功すると予想以上に増えてしまう”
という可能性があることも
頭に入れておくべきでしょう。
特にオスはいずれ単独飼育になるので、
産まれたオスの数だけ
水槽を用意しなくてはなりません。
それだけの数のベタを飼育するための
適切な環境を整えることができるのなら
何も問題はないのですが、
「さすがに100匹はちょっと・・・」という方は
繁殖させる前にあらかじめ稚魚の引取り先を
確保しておくようにしましょう。
興味のある友人・知人に譲るほか、
お店によっては生体の引取りや
買取りを行っている場合もあります。
間違っても河川や溝などに
放流するようなことはしないでくださいね!
ベタの繁殖でメスがボロボロに!どうしたらいい?
求愛~産卵までの一連の繁殖行動が終わると、
多くのメスベタはオスから受けた攻撃が元で
体やヒレがボロボロに傷付いてしまいます。
これをそのままにしておくと
傷口から細菌が侵入して
感染症にかかる恐れがあるので、
無事に産卵を終えたメスは
すみやかに別の容器に隔離して薬浴し
傷を治療しましょう。
こちらの「スーマ」という液体を
あらかじめ用意しておくと良いですね。
スーマはベタの原産国であるタイで開発された
ベタ専用のコンディショナーで、
ヒレやエラのトラブル時に効果的です。
(※入手が難しい場合は、
薄めたメチレンブルー液でも構いません。)
体力の回復を促すために
塩も一つまみほど入れておくと良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、
ベタを繁殖させるうえで非常に重要となる
メスの選び方を詳しく解説してまいりました。
どれだけ時間をかけて
お見合いやペアリングをしても、
メスの体の成長が追いついていなければ
交尾~産卵に至らないどころか、
何もわからないままオスに追い回されて
ただボロボロにされてしまうだけ。
これでは何度やっても繁殖はうまくいきません。
ベタの繁殖は他の熱帯魚に比べて
難易度が高いと言われていますが、
「いつでも産卵OK!」な
十分に成熟したメスを選ぶことも
成功率を高めるために大切なことの一つ。
今回ご紹介した方法を参考に、
ベストな状態に成長したメスを
しっかり見極めてくださいね!
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