ベタファンなら
誰もが一度は憧れる”繁殖”。
可愛がっているベタの子孫を
自分の手で残せたら嬉しいですよね。
しかしベタは他の魚種に比べて繁殖が難しく、
初めてだと思うようにうまくいかないことも。
中には繁殖に失敗して
「大切なベタが弱ってしまった・・・」
という飼い主さんもいるでしょう。
そんな時はつい心が折れそうになりますが、
何事も失敗してしまった時はまず
”原因”としっかり向き合うことが大切。
繁殖も失敗した原因を正しく知ることが
次回の成功率アップに繋がります。
そこで今回の記事では、
ベタの繁殖がうまくいかない時の原因や
成功させるコツについて解説していきます。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
ベタの繁殖に失敗!うまくいかないのはどうしてなの?
それではさっそく、
ベタの繁殖がうまくいかない原因を
一緒に探っていきましょう。
繁殖させた時の状況を
よく思い出してみてくださいね。
1.お見合いをしていない/時間が不十分
熱帯魚を繁殖させる際には、
通常オスとメスを同じ水槽で泳がせて
お互いの相性を確認しますが、
ベタの場合はいきなりオスとメスを
一緒にしてはいけません。
ベタのオスはメスを気に入らないと、
今にも殺さんばかりの勢いで
メスを激しく攻撃してしまうからです。
そこで、ベタの繁殖では
ペアリングの前段階として
オスメスを別々の容器に入れて対面させる
通称”お見合い”が必ず行われます。
このお見合い期間中は、
ペアの様子をよく観察しておいてください。
お互いに発情して繁殖の準備が整うと、
やがて以下のような行動や体の変化が
見られるようになるはずです。
- オス
⇒盛んに泡巣を作り始める
⇒威嚇をやめて誘うような仕草を見せる - メス
⇒オスに興味を示している
⇒背中~お腹にかけて婚姻線が出る
オスとメスを同じ水槽に入れるのは
この”OKサイン”が確認できてから。
オスメスとも相手に対する
受け入れ態勢がしっかり整っていれば、
ペアリング後のトラブルも少なくなります。
先を急ぎたい気持ちはわかりますが、
最低でも1日以上かけて
じっくりお見合いをさせましょう。
2.時期が早すぎる
また、お見合いはペアの相性だけでなく
オスメスとも”性成熟しているかどうか”を
確認するためのものでもあります。
成熟していない状態で繁殖させようとすると
産卵にまでいたらないばかりか、
相手を拒絶して激しく喧嘩してしまい
どちらかが命を落とすことにもなりかねません。
特にメスベタは繁殖用として
ショップから迎えたばかりの個体だと
まだ若すぎる場合が多いです。
お見合い・ペアリングをさせるのは
繁殖に適した体に成長するまで待ちましょう。
繁殖期の見極め方については
後ほど詳しく解説しますね。
3.オスメスの相性が良くない
十分なお見合い期間を経てから
オスとメスを一緒にしても、
たいていのオスはメスの姿を見ると
興奮してしつこく追いかけ回したり
体やヒレを激しく突いたりします。
飼い主さんとしてはちょっと心配になりますが、
ここは少し様子を見守っておきましょう。
ベタはこうした激しいペアリングの後に
産卵に至るケースが多いものです。
ただし、混泳から2~3日経っても
なかなか産卵が始まらないという場合は、
そのペアの相性が良くないのかもしれません。
お見合いの時点では順調そうに見えても、
一緒にしてみたらダメだった・・・
というケースも意外とあります。
見極めが難しいところなのですが、
どちらか一方が激しく攻撃されている場合は
すみやかにペアリングを中止しましょう。
一旦オスメスそれぞれの水槽に戻し、
傷や鱗剥がれなどがある場合には
メチレンブルー液で薬浴させます。
その後は改めてお見合いから再開すると
思いのほかうまくいくこともありますが、
難しいようならパートナーを変えるか
別のペアでの繁殖も検討してみてください。
ベタの繁殖!成功させるための3つのコツ
ベタの体力がしっかり回復したら、
今回の失敗の原因を踏まえたうえで
もう一度繁殖にチャレンジしてみましょう。
続いては繁殖の成功率を高めるコツを
3つのポイントに分けて解説していきます。
1.タイミングを見極める
どれだけ慎重にお見合いをしても、
オスメスとも十分に性成熟していないと
繁殖はうまくいきません。
日頃からベタの様子をよく観察して、
繁殖に最適なタイミングを見極めましょう。
まず、以下の画像のように
ベタのオスは繁殖期になると
水面に泡をたくさん作るようになります。
出典:http://blog.livedoor.jp/hirahiranobeta
これは「泡巣」と呼ばれるもので、
産卵後のオスはここでしばらくの間
子育てを行います。
一方、メスの繁殖期は
体の色や模様によっては
ちょっとわかりにくいのですが、
以下の画像のように
お腹周りが大きく張ってきて
卵巣が白く透けて見えるようになります。
出典:http://azuresky06.blog69.fc2.com
ただ、ベタは餌の食べ過ぎでも
お腹がぽっこり膨らむことがあるので、
同時に「産卵管」も確認しておきましょう。
お腹にある白い小さな突起が
1mmほど出ているのが見えればOKです。
なお、ベタの繁殖時期については
こちらの記事でも解説していますので、
よろしければ参考にしてみてくださいね。
2.メスの隠れ家を用意する
多くのオスベタはペアリングの際に
メスを激しく攻撃しますので、
メスがいざという時に避難できるように
繁殖用の水槽には隠れ家を作っておきましょう。
隠れ家はどんなものでも構いませんが、
先の尖った流木や角のある石などのような
ベタに怪我をさせる恐れがあるものは
避けてください。
水草・浮き草はオスの泡巣作りや
卵が孵化した後の稚魚の餌となる
微生物を増やすのにも一役買ってくれます。
3.繁殖に適した環境を整える
さらに、繁殖を成功させるには
水槽環境を整えることも大切です。
普段はガラスボトルなどの小さな容器で
ベタを飼育している方も多いと思いますが、
繁殖用の水槽はできれば
水量10L以上のものを用意しましょう。
ある程度のゆとりと隠れ家があれば、
オスメス間でトラブルが起こった時も
そこまで酷いことにはなりにくいです。
オスベタに追い回されたメスが
驚いてジャンプすることがあるので、
水槽には必ず蓋をしておいてください。
また、繁殖用の水槽の水は
普段どおり「カルキ抜き」を行い、
温度は少し高めの27~28℃に設定します。
水温変化が起こるとストレスを感じて
繁殖しにくくなってしまうので、
ヒーターで一定の温度に保ちましょう。
ベタの繁殖行動ってどんな感じなの?
ベタの求愛~産卵までの一連の繁殖行動は、
「情熱的」「神秘的」といった言葉で
表現されることが多いですよね。
その瞬間を自分の目で見てみたくて
繁殖に挑戦したという飼い主さんも
いらっしゃるでしょう。
では、ベタの繁殖行動とは
実際どのように行われるのでしょうか。
まず、混泳したばかりの頃は
オスから逃げ回ってばかりのメスですが、
やがて観念してオスの誘いに従い
自ら泡巣の下へと近寄っていきます。
そうすると2匹は
まるでダンスを踊るかのようにクルクルと回り、
オスはメスをぎゅっと抱き締めるように
体をきつく巻き付けて産卵を促します。
ここでメスの産卵とオスの放精が
同時に行われて受精が成立するのです。
その後、抱き合うペアの隙間から
卵がパラパラと水底に落ちていきます。
産卵を終えたメスは失神して
水面に浮かんだまま動かなくなりますが、
命が果てたわけではないのでご安心を。
その間、オスは卵を自分の口で拾い上げて
せっせと泡巣へと運びます。
ベタはオスが子育てをしますが、
この時点で早くも”イクメン”ぶりを
見せてくれますよ。
なお、ここまでの一連の行動は、
すべての卵が産み落とされるまで
何十回と繰り返し行われます。
実際の様子はこちら。
こうした情熱的で愛情深い一面を知ると、
ますますベタが魅力的に見えることでしょう。
次こそは必ず繁殖を成功させて、
この感動のシーンに立ち会いたいですね!
ベタの繁殖は違う種類同士でもできる?
ペアリングが成功すると
飼い主さんが思わず釘付けになるほどの
熱々ぶりを見せてくれるベタ夫婦ですが、
オスメスの相性が良くない場合は
別のパートナーに変更する必要が
出てくるかもしれません。
そこで悩むことといえば”組み合わせ”ですよね。
現在流通している改良ベタは
ほぼ「ベタ・スプレンデンス」という
同じ原種から派生したものなので、
基本的にはどの品種同士でも交配が可能です。
しかし、違う品種同士の組み合わせは
「これまでにない新しいベタを作出したい」
「特徴の出方をうまく調整したい」といった
繁殖の知識が豊富な上級者さん向け。
無作為に組み合わせてしまうと
品種ごとの特徴がうまく引き出されず
中途半端なベタが誕生することも多いので、
好みの品種を繁殖させたい場合は
できるだけ同種同士で
ペアを作ることをおすすめします。
ただ、メスはオスに比べて流通量が少ないため、
タイミングによっては希望の品種が
入手できない時もあるかもしれません。
メス同士はうまくいけば混泳も可能なので、
オスとの相性が悪かった時のことを考えて
最初からメスを複数迎えておくというのも
一つの手だと思います。
まとめ
今回の記事では、
ベタの繁殖がうまくいかない原因や
成功させるためのコツについて
詳しく解説してまいりました。
ベタの繁殖は他の熱帯魚に比べて
気を付けなければならないことが多くあります。
特に繁殖のタイミングやオスメスの相性は、
飼い主さんの目できちんと見極めておかないと
最悪命に関わる事態にもなりかねません。
可愛い稚魚に早く会いたくて
先を急ぎたくなる気持ちはわかりますが、
一つ一つ正しいプロセスを
しっかりと踏んでいくことこそが
繁殖成功への近道です。
大切なベタが元気になったら、
ぜひ再チャレンジしてみてくださいね!
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