みなさんは犬にも脳腫瘍があるということをご存知でしょうか。
実は犬の脳腫瘍は初期症状がほとんどみられません。そのため、症状に気が付いたときにはすでに末期状態となってしまっているケースも少なくありません。
では、脳腫瘍の末期にはどんな症状があらわれ、どれくらい生きることができるのでしょうか。また、急死することがあるのかどうかも気になりますよね。
そこで今回は、犬の脳腫瘍の末期症状や余命について、詳しくご紹介していきます。
▼この記事に書いてること
脳腫瘍としっかり向きあうためにも、ぜひ覚えておきましょう。
犬の脳腫瘍の症状とは
犬の脳腫瘍は、初期症状がほとんどありません。そして腫瘍が大きくなるにつれて次第に症状が現れるようになります。
症状は腫瘍ができている場所や腫瘍の大きさなどによってさまざまです。主な症状は神経症状で、
- けいれん発作
- ふらつき
- 旋回運動(同じ方向にくるくる回ること)
- 斜頸(しゃけい:首が傾くこと)
- 性格の変化(攻撃的になるなど)
- 視覚や聴覚の消失
- 意識がなくなる
などがみられます。その中でも特にけいれん発作は初期症状として現れやすい症状です。
苦しむ?
犬の脳腫瘍は初期の状態であれば症状もなく、いつもどおり元気いっぱいであることがほとんどです。
また、愛犬がけいれん発作を起こしている姿はとても苦しそうにみえます。そのため、辛くてみていられないと感じる飼い主様が多くいらっしゃいます。
しかし幸いにも発作中は意識がないため、苦しむことはほとんどないようです。
ただし、病気が進行して末期の状態に近づくと痛みが強くなり、苦しい時間を過ごすことになります。
痛みから元気や食欲が落ちたり、眠れなかったりすることもあるため、鎮痛剤を使って痛みを和らげるような治療を行います。
震えるって本当?
結論から言うと、犬に脳腫瘍ができるとけいれん発作を起こし震えることがあります。
▼脳腫瘍と診断されたワンちゃんがけいれん発作を起こしている様子です。
けいれん発作とは、脳の一部に障害が生じることによって、突然全身もしくは体の一部の筋肉がけいれんしたり、意識がなくなってしまったりする状態を指します。
けいれん発作は脳腫瘍の初期症状として現れることが多い症状です。
体の一部がピクピクと震えたり、意識を失って全身がガクガクと震えたりしている場合には、脳腫瘍の可能性があるためすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
犬の脳腫瘍の末期症状とは
脳腫瘍が大きくなると、末期症状として重度のけいれん発作が起こるようになります。
重度のけいれん発作とは、
- 1日に何度も発作を起こす
- 発作を起こしている時間が長い
- 発作が落ち着く前に次の発作が始まる
などのようなけいれん発作を指します。
軽度のけいれん発作であれば、命にかかわるようなことはほとんどありません。
しかし重度のけいれん発作は犬の脳にダメージを与えてしまう可能性があります。そのため、すぐに発作を止めないと最悪の場合死に至ることもあります。
最後はどうなる?
脳腫瘍に限らず、がんは徐々に体をむしばんでいきます。ごはんが食べられなくなり、体力が落ち、体重も減っていきます。
また、痛みもどんどん強くなり、最後は通常の鎮痛剤が効かなくなります。
そして残念ながら治る見込みがない場合には、ガンを直す治療から、QOL(生活の質)の向上を目的とした緩和治療に切り替えていきます。
また、せめて愛犬を痛みや苦しみから早く解放させてあげたいと、涙ながらに安楽死を選択する飼い主様もいらっしゃいます。
犬の脳腫瘍の余命は?
犬の脳腫瘍の余命は、
- 腫瘍の種類
- 発生部位
- 転移の有無
- 治療の有無
- 治療方法
などによって大きく異なります。
一般的には緩和治療を行った場合よりも、手術や放射線治療を行った場合の方が長生きできる可能性は高まります。
ただし、手術も放射線治療も全身麻酔下で行いますので一定のリスクを伴います。
また、診断時にすでに末期の状態であれば、数日で命を落としてしまうこともあります。
長生きはできる?
繰り返しになりますが、犬の脳腫瘍は早期発見が難しい病気です。そのため、診断がくだってから1年も生きられないことが多く、長生きは難しいでしょう。
運良く早期発見できて治療がうまくいけば、年単位で生きられるケースもあります。
しかし脳腫瘍は治療が難しく、さらに高齢犬に多くみられることから、多くの飼い主様は積極的治療よりも緩和治療を選択されます。
命に対する選択に正解はなく、どの選択肢をとっても必ずといっていいほど後悔は伴います。そのため、なるべく後悔が少なく済むような選択肢をとれると良いですね。
急死することがある?
犬の脳腫瘍は初期症状が出にくいだけでなく、高齢犬に多くみられる病気です。そのため、最初は加齢性の変化と区別がつかず、動物病院への受診が遅れて急死してしまうことがあります。
また、突然重度のけいれん発作が起きてしまうと、最悪の場合そのまま命を落としてしまうこともあります。
中には手術後に突然亡くなってしまうケースもあります。脳腫瘍は危険と隣り合わせである病気と認識しておきましょう。
犬の脳腫瘍の発作頻度は?
犬の脳腫瘍の一症状であるけいれん発作ですが、その頻度は様々で、数日に1回のこともあれば、一日に複数回起こることもあります。一般的には病気が進行するにしたがって発作の頻度は増えていきます。
また、一日に複数回起こる発作のことを、「群発発作」といいます。
群発発作はすぐに対処をしないと命に関わることがあるので、夜間や早朝であってもかかりつけの動物病院にすぐに相談するようにしましょう。
犬が左にくるくる回ると脳腫瘍って本当?
犬の脳腫瘍によくみられる症状のうちの一つである旋回運動ですが、一部では「左回りだと脳腫瘍の可能性が高い」といわれているようです。
しかし、右回りに旋回することもあれば、他の病気が原因で左回りに旋回することもあります。
▼脳腫瘍と診断されたワンちゃんです。右回りに旋回しています。
右回りだからといって、脳腫瘍ではないと決めつけるのは危険です。
旋回運動がみられたらまずは動物病院を受診して、詳しい検査を受けるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
犬の脳腫瘍は初期症状がほとんどなく、症状が現れたころにはすでに末期状態であることも珍しくありません。
末期は余命が短いケースも多く、また、重度のけいれん発作が起こる可能性も高いでしょう。
愛犬が発作を起こしている姿を見るだけでもとても辛い気持ちになると思います。しかし、そんな中でも早期に治療方針について決断をしなければなりません。
こちらの記事の内容を参考に、どのように病気と向き合ってどんな最期をむかえたいかを考え、なるべく後悔が残らないような選択肢をとれると良いですね。
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