犬の甲状腺機能低下症とは?おすすめの食事を紹介
ホルモンってご存知でしょうか。
色々な刺激に対して体内で分泌され、
身体の機能を調節している物質。
女性ホルモンや男性ホルモンが有名ですね。
このホルモンが足りなくなると、
身体のバランスが崩れてしまいます。
わんちゃんにもホルモン失調の病気がいくつも
あり、その中のひとつが甲状腺機能低下症です。
今回、わんちゃんの甲状腺機能低下症の
基礎知識と食事療法について紹介します。
この記事に書いてること♪
犬の甲状腺機能低下症とは?
甲状腺は気管の左右にある内分泌器官です。
ここから分泌される甲状腺ホルモンは、
主な作用として代謝促進があります。
甲状腺機能低下症は名前の通り、ここから
分泌されるホルモン量が極度に少なくなって
しまう病気です。
人間でも中年女性に多いので、知ってる方も
多いのではないでしょうか。
高齢の中型犬と大型犬に多い病気で、
小型犬にはあまりみられません。
特に発症しやすいのは
ゴールデン・レトリーバー、
シェットランド・シープドッグ、
ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、
柴犬などです。
ただし、ミニチュア・ダックスフンドは
ダックスフンドと同じ体質なので小型犬でも
甲状腺機能低下症を発症しやすいです。
犬の甲状腺機能低下症の症状とは?
甲状腺ホルモンは代謝促進が主な仕事なので、
足りなくなると元気消失、少食なのに肥満、
高脂血症、沈鬱、脱毛、皮膚の色素沈着などの
症状が現れます。
わんちゃんの表情が特徴的で、よく
「悲しそうな顔」と言われます。
これは顔がむくんでいることでマブタが腫れて、
悲壮な表情に見えるため。
全く無治療で過ごすとこの種々の症状が悪化し、
体温低下や神経障害など命に関わる状態に
なりかねません。
ホルモンとは、生物にとって本当に
大事なものなんです。
犬が甲状腺機能低下症になる原因は?
この病気の原因は原発性、二次性、先天性など
細分化されていますが、多いのは甲状腺に
リンパ球が浸潤して炎症を起こしてしまうか、
甲状腺が縮んでしまうことで起こります。
クッシング症候群など、
身体中のホルモンバランスを崩してしまう
病気に併発することもしばしば・・・。
※クッシング症候群・・・副腎皮質機能亢進症。
副腎皮質から分泌されるホルモンが極端に
減少することで、身体に悪影響が出る。
発症しやすい犬種が存在することから、
遺伝性の原因も疑われています。
また、甲状腺癌の際にも甲状腺機能低下症が
発症することがあります。
ホルモンが増えそうな感じがしますが、
減ってしまうんです。
犬が甲状腺機能低下症になった場合の寿命はどれくらい?
原発の甲状腺機能低下症で癌化もしていない
場合は、甲状腺ホルモンを内服により補充すれば
長生きできることが多いです。
癌の場合には転移の有無にもよるので明言は
できませんが、寛解すれば予後良好な子が
ほとんどです。
犬の甲状腺機能低下症の治療費はどれくらいかかるの?
ホルモン検査って、なんだか検査が大変そう
というイメージありますね。
お値段、気になります。
まず必要なのは、
ホルモン値含めた血液検査。
見た目で怪しいなと思っても、ホルモン値を
しっかり確認してから治療を開始しないと
わんちゃんの負担になりかねません。
検査をして病気がハッキリしたら、ホルモン剤の
内服投与を開始します。
血液検査
健康診断用血液検査項目とT4、FT4、c-TSHの
どれかもしくは全てを測定することが多いです。
血液検査は病院により違うので明確には
言えませんが、
健康診断でよく測定するパネルは
6000~8000円、
T4は4000~6000円、
FT45000~8000円、
c-TSH5000~8000円ほどが平均です。
費用については院内検査か外注検査かにもより
かなり差があるので、詳細はかかりつけの病院に
確認しましょう。
※T4、FT4・・・甲状腺ホルモン
※c-TSH・・・甲状腺ホルモン分泌刺激ホルモン
お薬
この病気は、足りない甲状腺ホルモンを
お薬で補充することになります。
大体1錠あたり100円前後が多いです。
これら費用に関しては、病院によりかなり
ひらきがあるので詳細はかかりつけの病院で
聞いてみましょう。
犬の甲状腺機能低下症にはどんな薬が使われる?
治療には合成甲状腺ホルモン剤が使用されます。
まずは体重当たりの規定量を投与してみて、
症状やホルモン値を見ながら量を
調節していきます。
脱毛などの症状が改善するのは治療開始から
数週間から1ヵ月ほどかかることが多いです。
合併症が無ければホルモン剤だけで
維持できることもあるので、他の病気に比べると
比較的お薬代がかからない病気と言えます。
飼い主さんにとっては嬉しいですね♪
甲状腺機能低下症の薬の副作用はあるの?
ホルモン剤の効果には個体差があります。
そのため規定量でも効きすぎてしまうことが
あり、その場合甲状腺機能亢進症に近い状態に
なります。
興奮や削痩、高血圧など、低下症とは逆の症状が
見えてきます。
副作用があった場合には1度ホルモン剤の投与を
止めて、副作用の症状が落ち着いたら
その子の様子を見つつ規定の半量からお薬を
再開することが多いです。
副作用が出たからと言ってお薬を完全に
切ってしまうと、また以前の状態に逆戻り
することがほとんどなのでちょうど良い量を
獣医師と協力して決めていきましょう。
犬の甲状腺機能低下症でおすすめな食事療法とは?
甲状腺機能低下症のわんちゃんは、ホルモンを
補充していても脂質の代謝が活発では
ありません。
要は、太りやすい。
そのため、低脂肪高たんぱくなフードが
推奨されています。
たんぱく質に関しても、効率の良い利用が
できないため高消化性のたんぱく質を
与えることがベストです。
注意したいのは大豆で、甲状腺ホルモンの
主体であるヨードの吸収を阻害してしまうと
いわれています。
大豆主体の食べ物と一緒にホルモン剤を
与えないようにしましょうね。
1.手作りごはん
毎日は面倒ですが、休日や記念日などに
作ると楽しいですよね♪
低脂肪なお肉を中心に作りましょう。
目標カロリーは、よくドッグフードの袋に
記載してある「ダイエット」用のカロリーです。
ダイエット用で痩せてきてしまったら、少し量を
増やすなどして調整してください。
たんぱく源と脂質のためにささみ、牛の赤身、
馬肉の赤身などを使います。
たんぱく質は、全体の50~60%くらいです。
炭水化物はお米やサツマイモなど一般の
ドッグフードに入っているものであれば
問題ないですが、あげすぎると肥満の一因に
なるので全体の10~20%くらいで十分です。
20~30%ほどは野菜を入れたいですが、根菜は
炭水化物が多いので避けてキャベツや大根などで
補いましょう。
ポイントは、キャベツにはシュウ酸という
尿路・膀胱結石を形成しやすい成分が
含まれているので、与えるときには
しっかりゆでることです。
大根には消化酵素が含まれていますが
辛みも多いので、あげすぎに注意しましょう。
2.ドックフードの見直し
手作り食は何かと気を付けないといけないことが
多いので、楽なのはドッグフードでの食事療法。
ドッグフードの一般食は、安ければ安いほど
脂質や香料を多くして食いつきが良くなるように
作られています。
そのため、病気のわんちゃんには
向いていません。
療法食だと、ロイヤルカナンの消化器サポート
低脂肪、ヒルズのi/d low fatなどが病院でよく
使用されるタイプです。
たんぱく質の消化吸収も悪くなっているので、
消化器病のフードが意外と合います。
最近発売されたものだと、犬心(いぬこころ)と
いう療法食もあります。
お肉多めの配合で作られているため味も匂いも
良く、わんちゃんの食欲をそそるようです。
通販限定の商品なのですが、わんちゃんが
食べるかチェックしてから定期購入を
決定できるのでグルメなわんちゃんの
飼い主さんにも安心!
まとめ
甲状腺機能低下症は、治療すれば
比較的予後が良好な病気です。
老犬は動きが鈍くなってくるので、それが
加齢のせいか病気のせいか判断しにくいことも
多々あります。
悲しそうな顔が続いていたり、食べる量が
減ったのに太ってきたなどの兆候が見えたら
病院で健康診断がてら検査をしてみるのも
おすすめですよ♪
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